釧路湿原キラコタン岬へ <鶴居村、羅臼2022,6,22-6,28>

ホテルTAITOさんでは5月~10月まで「早朝ガイド」を実施されていて(宿泊者限定・有料)、村内のタンチョウを観察しつつ、釧路湿原の最深部(先端部)の「キラコタン岬」まで行くことができるツアーです。キラコタン岬周辺は「天然記念物釧路湿原指定区域」で、許可が無ければ立ち入り禁止ですが、ガイド引率のプロ写真家である和田正宏ホテルオーナーは事前に関係機関に立ち入り許可を取ってあるので、安心して参加できます。

私は何度か参加した事がありますが、毎回感動する風景に出会えます。

早朝5時過ぎ、雨上がりのしっとりとした村内をクルマで走り、タンチョウを観察。林道に入りキラコタン岬の入口に到着。駐車スペースとトイレが完備。
実は釧路湿原キラコタン岬は釧路市ではなく鶴居村なのです。

キラコタン岬入口

さて、レンタルの長靴に履き替え、和田オーナーから「ヒグマのレクチャー」を受けます。ヒグマの生息域に入るので、これは必要です。

和田オーナーから足元の植物や動物等にまつわるお話を、冗談を交えながら楽しく拝聴しながら歩きます。

「森の子どもたちのマザーツリーになるプロジェクト植林地」

先ず昔の牧草地の跡を歩き、森林再生として「エゾノコリンゴ」の苗が植えられている「森の子どもたちのマザーツリーになるプロジェクト植林地」のエリアを通り、森に入ります。池塘や「魚付林」が現れそれにまつわる話など。

クモの巣

クマ出没注意
エゾシカの雄の頭蓋骨
キタキツネが咥えてきたという。

池塘、魚付き林

山林を伐採すると土砂が流出し河川が汚れ、それが海に流れこみ魚が住みにくくなります。(海枯れ)
そのため、漁業を営む方々が河川の上流域に植林し森林の保全を図りました。このような森を魚付き林と呼び、所謂「保安林」のひとつです。機能としては土砂の流出を防止して河川水の汚濁化を防ぐ、きれいな水を供給する、河川や海洋の生物に栄養やエサを提供するなどがあります。

池塘と言うと高層湿原の尾瀬を思い出しますが、高層湿原はヨシやスゲが堆積して周囲より盛り上がった湿原で(地下水位より上)、周囲より水が入り込まず雨水のみとなり、貧栄養となります。反対に低層湿原は地下水位よりも下に発達しごく普通に見られる湿原で、水が流れ込むので富栄養となります。その中間が中間湿原です。
釧路湿原は低層湿原が約8割を占めます。湿原は低層湿原、中間湿原、高層湿原の順に進み、最終的には陸地となります。

ここから「天然記念物釧路湿原指定区域」

外来植物の種を落とすマット

入口には靴に付いた外来植物の種を落とすマットがあり、靴底を擦って、森に入ります。
森の中でも湿原(地下水脈)が入り込んでいる話、釧路湿原は周囲の森深くまで入り込んでいるという事。手の甲ような感じ。

湿原(地下水脈)が入り込んでいる、境目

森の中の湿原(地下水脈)
ズブズブです。落ちたら大変。

サルノコシカケ

凍裂
厳冬期に樹木の水分が凍って(膨張し)樹皮が縦に裂ける

チャシ跡(アイヌの人々の砦跡)

昔のアイヌの方々の砦跡「チャシ」が存在します。

そして森を抜けると、蛇行する川が目前に。キラコタン岬です。

キラコタン岬

キラコタン岬

暫し眺めて、再び森を行き最後の急登で、キラコタン岬の展望台、蛇行する川と雄大な釧路湿原が樹間から望めます。彼方にタンチョウのつがいも見られました。

キラコタン岬展望台から釧路湿原

1924年、まさにここで絶滅寸前の十数羽のタンチョウが再発見され、タンチョウを愛する人々達によって、現在は千数百羽まで回復したそうです。

また、高度経済成長期、湿原は無用の長物という考えから開発の対象となりましたが(日本列島改造論)、湿原中心部はズブズブの深い湿原で開発は困難。その後、湿原を囲む森は水源林として、魚付き林として、湿原は貯水地(天然のダム)の役割として、また、タンチョウを始め多くの生き物を育む貴重な場所、という事で、湿原の中心部は「天然記念物釧路湿原指定区域」となり、釧路湿原自らの形状で開発を免れました。

はるか彼方にタンチョウのつがい

タンチョウのつがいについて、タンチョウは一生オスメス添いとげると思われていましたが、最近の研究では、若いつがいは子供が孵らなかったり育てられなかった場合は、別れる傾向があり、子供が生まれて育ち、子別れまでできた場合のみ一生添いとげるという話でした。

子別れは給餌場が多く、子別れした若いタンチョウたちはグループとなって、そこで婚活をするそうです。

往路を戻りますが、今日はとても元気な子供さんがいらして、元気いっぱいな声が湿原の森にこだまして、更に楽しかったです。

ホテルに戻り朝食です。

朝食

アシストのレンタサイクルを借りてポタリング。あまり遠くへは行きませんが、5月に行った丘の上の牧草地の1本桜(エゾヤマザクラ)の木まで。みずみずしい若葉に覆われていました。途中、タンチョウを幾らか見つけました。

タンチョウ横断注意!

一本桜
若葉に覆われています。

お借りしたレンタサイクル(アシスト自転車)です。

猫(=^・^=)

タンチョウ

ノビタキ

昼食はホテルで。

アイスコーヒー

カツミート

再びポタリング、気持ち良く村内を走りました。

ホテルに戻り、ホテル自慢の天然かけ流しの温泉で寛ぎ、美味しくてボリューム満点な夕食を頂いて大満足です。

夕食

その後、併設のバーで、和田オーナーやお客さんと話しながら鶴居ワインを頂いて、楽しいひとときでした。

鶴居ワイン クロンヌージュ

夜半前から雨で明日はどうなるかわかりませんが、とりあえずレンタサイクルを借りてポタリングの予定です。

ひとり旅

Posted by でぇあぶつさん